440C熱処理
440Cの熱処理は、この高炭素ステンレス鋼合金の可能性を最大限に引き出すための重要なプロセスです。このプロセスでは通常、鋼を1850-1950°F(1010-1066°C)の温度まで加熱し、その後制御された焼入れと焼戻しが行われます。この精密な熱操作により、鋼の微細構造が根本的に変化し、硬度、耐食性、耐磨耗性の最適なバランスが得られます。熱処理中、カーバイドがオーステナイト構造に溶解され、焼入れ時にマーテンサイトに変化して特性となる硬度を提供します。続く焼戻しプロセスは、通常300-600°F(149-316°C)の温度で実施され、内部応力を軽減しながら所望の硬度レベルを維持します。この処理により、硬さ値が58-60 HRCに達することができ、特に高摩耗用途に適しています。一貫した結果を得るためには、プロセスにおいて厳密な温度管理とタイミングが必要です。現代の熱処理設備では、コンピュータ制御式の炉と精密な温度監視システムが使用されており、これらの厳しい基準を維持します。成功した処理の証拠は、高級ナイフ、手術器具、精密ベアリング部品など、耐食性と耐磨耗性の両方を必要とするアプリケーションで特に明らかです。